ED(erectile dyfunction)とは「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態」と定義されており、このような状態が少なくとも「3ヶ月持続すること」を診断の条件としています。

EDの原因としては加齢に伴う血管や神経の老化、ホルモン分泌の変化などの器質性原因やストレス、対人に対して起こる心因性原因などが考えられます。

また、喫煙・糖尿病・肥満と運動不足・腎臓疾患などがEDのリスクとして考えられています。

EDの症状

ED症状のレベルは軽症(たまに勃起できない)、中等度(勃起が充分でなく、時々性交ができない)、完全型(勃起しないため常に性交できない)の3パターンに加え、「本人の思い通りの性行為を満足に行えない状態」もEDに含まれます。

わかりやすいようにEDの具体的な症状を列記します。

  • 性行為の際に必要な時に勃起が得られない。
  • 勃起はするが、必要な硬さが得られない。また、勃起を維持できない。
  • 自慰行為時は硬くなるけど、パートナーとの行為時に硬くならない。
  • 特定の人との性行為時にだけ、うまくできない。
  • 勃起は得られるが、やわらかくなってそのまま射精まで至ってしまう。
  • 刺激がある時は勃起が維持できるが、そうでないと萎えてしまう。

治療薬について

ED薬としてもっとも有名なバイアグラは末梢血管の拡張作用が主な効能です。
同様の効能があるシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)の効果、持続時間、食事の影響、副作用、費用などについての総合的な比較を下記の表にまとめました。

当院の処方薬 シルデナフィル
(バイアグラ)
バルデナフィル
(レビトラ)
タダラフィル
(シアリス)
特徴 ED治療薬として世界で初めて製品化された薬です。世界的に有名で安心感があリます。短時間で効くタイプ。
シルデナフィル(バイアグラ)は他の薬剤と比べると硬さが出やすいという方が多いです。
水に溶けやすい性質上、一番速効性があリます。シルデナフィル(バイアグラ)と似て短時間で効くタイプ。
硬さが出やすく、刺激に対して鈍感になり、射精までの時間が延長する傾向があります。 バイエル薬品の行った治験によると、バルデナフィル(レビトラ)を服用して性行為を行うと普段の2.4~3倍程度、挿入時間が延長したという結果があるそうです。 早漏傾向でお悩みの方にもおすすめのED治療薬です。
マイルドな効果で自然な勃起です。じわじわと長時間作用するタイプ。また、ほてりなどの副作用の出方は弱めです。
効き方がマイルドで自然な効き心地という方が多いです。強く硬い勃起で起こる違和感なども少ないため、男性の性感を損なうことがなく、射精感の遅延が少ないようです。
服用後効き始めるの時間 30分程
効き目や使用感はやや強め。性的刺激に反応しやすくなります。服用時は空腹で服用しないと効果が得られません。
15分程度
45分ほどで血中濃度がピークを迎えます。効き目や使用感は力強く、即効性があり、代謝も早めです。
1~2時間程度
空腹で飲んだ場合には40分程度で効き始めます。効き目がマイルドなED治療薬で血中濃度のピークは服用後3時間くらいです。
持続時間 5~6時間程度
胃の中に食事の内容物などが残っていると吸収が阻害され、効果持続時間が短く感じられることがあります。
5~6時間程度
ED症状が比較的軽い方や、服用時のコンディション、体質的にレビトラと相性のいい方ですと効果時間が8時間からそれ以上実感できる場合があります。
24~36時間程度
これも服用者の体質的なマッチングや服用時の条件などから、40時間以上持続する場合があり得ます。効果時間の開始を早めたい場合には空腹で服用しましょう。
食事との関連性 食事やお酒の影響を受けやすい
空腹の状態で服用しなければいけません。食事が済んでから3時間以上は間を空け、水で服用するのが効果的です。服用1時間後くらいすれば食事をとってもOKです。
グレープフルーツとの併用は禁忌
食事やアルコールの影響を受けにくい
食後の服用でも問題ありませんが、脂っこい食事だと吸収が悪くなるので食事はあっさり目に。最大限の効果を得たい場合には、空腹で服用を。
グレープフルーツとの併用は禁忌
食事やアルコールの影響を一番受けにくい
脂分の多い食事をした後すぐの服用でも問題ありません。アルコールそのものの影響によってED症状が増悪する場合があるのでお酒はほどほどに。
グレープフルーツとの併用は禁忌
副作用 顔のほてり、頭痛、動悸、頻脈、紅潮、鼻づまり、目の充血など
その他、視覚に影響する副作用の報告あり。服用時は車の運転などは控えましょう
頭痛、動悸、頻脈、紅潮、鼻づまり、目の充血など
血管拡張に伴う胃の不快感を訴える方もいます。胃薬の併用は問題ありません。
慢性腎不全の患者さんは禁忌
頭痛、動悸、頻脈、紅潮、鼻づまり、目の充血など
頻度は高くないですが、背筋痛が起こる場合があります。 1週間から10日程度つづく場合や、痛みがかなり強い場合があるため注意が必要です。
費用 ・シルデナフィルOD錠(「トーワ」薬品 バイアグラ国内ジェネリック)50mg
4錠セット:5,060円(1錠当たり 1,265円)
・バルデナフィル錠(「トーワ」薬品 レビトラ国内ジェネリック20mg
2錠セット :4,070円(1錠当たり 2,035円)
・タダラフィルOD錠(「トーワ」薬品 シアリス国内ジェネリック20mg
 4錠セット:6,160円(1錠当たり 1,540円)

注意事項

高血圧治療中の場合

ED治療薬は末梢血管拡張剤のため血圧を低下させる働きがあります。そのため血圧を下げる降圧剤との併用により、立ちくらみなどの症状が一時的に表れることがあります。十分注意していればED治療薬は高血圧の方でも使用できますが、ED治療薬と併用できない薬も存在しますので必ず医師にご相談ください。


心筋梗塞や狭心症の既往がある場合

ニトログリセリンを使用中、または発作時に備えて所持している方にはED治療薬の処方は不可となっております。その他、ED治療薬と併用禁忌の薬剤もございます。

併用禁忌薬

ED治療薬と一緒に服用してはいけない薬や注意が必要な薬があります。

          

グレープフルーツ

グレープフルーツ中の「フラノクマリン」という成分が、服用した薬の成分を分解する体内酵素の働きを弱めてしまうからです。そのため予期せぬ副作用が現れることがあります。
その他、相互作用を起こすフラノクマリン類は、ハッサク・ブンタン・夏みかんにも含まれますので、これらも控える必要があります。

狭心症の治療に使うニトログリセリンを含む薬

ED治療薬と似たような作用をする薬なので、ED治療薬と同時に服用すると、血圧の降下作用が強く働くので併用は禁忌です。

不整脈治療に使うアミオダロンを含む薬

ED治療薬とアミオダロン製剤を併用することにより、致死性不整脈が起こす可能性があるので、併用は出来ません。
特にシルデナフィル(バイアグラ)とバルデナフィル(レビトラ)は併用禁忌となっています。

HIV治療薬

ED治療薬は肝臓の酵素によって分解され排泄されますが、HIVの治療薬は肝臓の酵素の働きを著しく阻害するために、ED治療薬と併用するとED治療薬の成分が分解されずに、体内の薬剤濃度が高くなりすぎるリスクがあるので、注意が必要です。
バルデナフィル(レビトラ)は併用禁忌となっています。

真菌治療薬

水虫など、カビが体内に入った際に塗り薬ではなく飲み薬で治療を行う場合がありますが、その飲み薬は上記のHIV治療薬と同様にED治療薬成分の分解を行う酵素の働きを阻害するために注意が必要です。
バルデナフィル(レビトラ)は併用禁忌となっています。